サングラス選びの基準:レイバンか、それとも実用性か

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サングラス選びの基準:レイバンか、それとも実用性か

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(ポッドキャスト 対話形式)


~元パイロットが教える、空の過酷な光から目を守る「最強のギア」~

パイロットのイメージと言えば、何を思い浮かべますか?

制服、肩章、そしてティアドロップのサングラス。 映画『トップガン』の影響もあり、パイロットとサングラスは切っても切れない関係にあります。

しかし、私たちパイロットがサングラスをかけるのは、決して「カッコつけるため」だけではありません(もちろん、それも少しはありますが)。 高度1万メートル。そこは、地上の何倍もの紫外線が降り注ぎ、雲海からの強烈な照り返しが目を焼く、視覚にとって極めて過酷な環境です。

サングラスは、ファッションアイテムではなく、「Personal Protective Equipment(個人用防護装備)」、つまり体を守るための道具なのです。

では、これから空を目指す人、あるいは本物の機能を求める人は、何を選ぶべきなのか? 王道の「レイバン」か? ミリタリースペックの「ランドルフ」か? それとも機能特化の「オークリー」か?

元エアラインパイロットの視点から、失敗しないサングラス選びの指針を書いていきますね。

第1章:王道にして原点「Ray-Ban(レイバン)」の魔力

まず、誰もが最初に手に取るのがレイバンです。特に「アビエーター(Aviator)」と呼ばれるモデル。 1937年、アメリカ空軍のパイロットのために開発されたこのサングラスは、まさに伝説です。ダグラス・マッカーサー元帥や、トム・クルーズが愛用したことで、その地位は不動のものとなりました。

メリット:圧倒的な「ガラスレンズ」の視界

レイバンの最大の武器は、伝統の「G-15」レンズです。 強化ガラス製のこのレンズは、プラスチックレンズに比べて透明度が段違いに高く、歪みがありません。景色が驚くほどクリアに見え、緑がかったグレーの色味は、長時間かけていても目が疲れないよう設計されています。

そして何より、「自分はパイロットなんだ」という高揚感。 訓練生時代、初めてレイバンを買ってフライトに臨んだ時の、あの「無敵になった気分」は、厳しい訓練を乗り越えるための重要なエネルギーでした。

デメリット:重さと「ヘッドセット」問題

しかし、現場のプロとして言わせてもらうと、レイバンには弱点があります。 それは「重さ」「テンプル(つる)の形状」です。

ガラスレンズは重く、長時間かけていると鼻に跡がつきます。 また、クラシックなテンプルは耳に掛けるフック型になっているため、航空用のヘッドセット(側圧が強い)と干渉し、こめかみが痛くなるのです。 「カッコいいけど、3時間のフライトで頭痛がする」 これが、多くのパイロットが通る「レイバンの洗礼」です。

第2章:米軍採用の本気仕様「Randolph(ランドルフ)」

レイバンの「痛み」を知ったプロたちが、次にたどり着くのがランドルフ・エンジニアリング(Randolph Engineering)です。 日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、アメリカ軍のミルスペック(軍用規格)をクリアし、長年米軍パイロットに支給され続けている「本物」です。

バイオネット・テンプルの革命

ランドルフの最大の特徴は、「バイオネット」と呼ばれる真っ直ぐなテンプル(つる)です。 耳に引っ掛けるのではなく、頭を挟み込むように装着します。

これがなぜ凄いのか? 「ヘッドセットをつけたままでも、スッと抜き差しができる」のです。 そして、耳の後ろに食い込まないため、長時間ヘッドセットで圧迫されても全く痛くなりません。

堅牢無比な作り

200工程以上を経てハンドメイドで作られるフレームは、戦車のように頑丈です。私は現役時代、何度かコックピットでサングラスを落としたり踏んだりしましたが、ランドルフだけは歪みひとつ生じませんでした。 「おしゃれ」よりも「道具」としての信頼性を求めるなら、ランドルフ一択です。

第3章:スポーツとテクノロジーの融合「Oakley(オークリー)」

近年、若手パイロットを中心にシェアを伸ばしているのがオークリーです。 元々はモトクロスや野球などのスポーツ用ですが、その機能性は空でも遺憾なく発揮されます。

圧倒的な軽さと「目の保護」

ポリカーボネート製のレンズは非常に軽く、一日中かけていてもストレスがありません。また、散弾銃の弾をも弾き返すと言われる耐衝撃性は、道具としての信頼性に直結します。

ガラスレンズは落とせば割れますが、オークリーは割れません。金属のレバーやスイッチが密集するコックピットでラフに扱っても壊れないタフさは、実用主義のパイロットにとって大きな魅力です。

遮光性の高さ

顔に沿ってカーブするデザイン(ラップラウンド型)は、横からの光の侵入を防ぎます。コックピットは横や斜め後ろからも強烈な太陽光が入ってくるため、隙間のないオークリーは非常に実戦的です。

ただし、「スポーティーすぎる」見た目は、制服との相性が賛否両論あるところ。「機能美」と割り切れる人には最強のギアです。

第4章:【最重要】「偏光レンズ」は絶対に買うな!

ここで、サングラス選びにおける最も重要な注意点をお伝えします。 釣りやドライブでは推奨される「偏光レンズ(Polarized)」ですが、パイロットにとっては「命取り」になるため、絶対に選んではいけません。

理由は2つあります。

1. 計器が見えなくなる(ブラックアウト)

現代の航空機(グラスコックピット)は、計器類が液晶画面(LCD)です。 液晶画面にも偏光フィルターが使われているため、偏光サングラスを通して見ると、角度によっては画面が真っ黒に見えてしまいます。 iPadでチャート(航空図)を見る際も同様です。情報が見えなくなることは、パイロットにとって死活問題です。

2. 他機が見えなくなる

空中で他の飛行機を探す時、私たちは機体の金属部分が太陽光を反射して「キラッ」と光るのを目印にします。 偏光レンズはこの「反射光」をカットしてしまうため、接近してくる他機の発見が遅れるリスクがあります。

また、航空機の強化ガラス(ウインドシールド)自体に歪みがある場合、偏光レンズを通すと虹色の縞模様が見えてしまい、外の視界が悪くなります。

サングラスを買う時は、必ず「非偏光(Non-Polarized)」を選んでください。これは鉄則です。

第5章:レンズカラーの正解は「グレー」か「ブラウン」か

最後にレンズの色です。 ファッションではなく、機能として選ぶなら以下の2択です。

  • グレー(G-15など): 色調を変えずに光量だけを落とすため、「自然な見え方」をします。景色の色が変わらないため、雲の色や地上の地形を正確に把握したい場合に適しています。レイバンやランドルフの標準色はこれです。
  • ブラウン / コパー: 青色光(ブルーライト)をカットし、「コントラスト」を高めます。空の青さと雲の白さがくっきり分かれて見えるため、雲の形を立体的に把握したり、遠くの視程を見通すのに優れています。

私は、長時間のフライトでも目が疲れにくい「グレー」を愛用していましたが、曇りの日や薄暮時は「ブラウン」の方が見やすいという同僚もいました。ここは好みで選んで良いでしょう。

結論:あなたの「ミッション」に合わせて選べ

まとめましょう。

  • 「ロマンと見た目」を最優先し、ガラスレンズのクリアな視界が欲しいなら 👉 Ray-Ban(レイバン) アビエーター (重さと痛みに耐えるのも、また一興です)
  • 「長時間フライトの実用性」と「プロ仕様の道具感」を求めるなら 👉 Randolph(ランドルフ) (ヘッドセットとの相性は世界一です)
  • 「軽さと保護性能」、そして最先端の機能を求めるなら 👉 Oakley(オークリー) (アクティブなフライトスタイルに最適です)

[絶対に守るべきルール]

  • 「非偏光(Non-Polarized)」を選ぶこと。

たかがサングラス、されどサングラス。 高度1万メートルの世界では、その一本があなたの疲労度を左右し、ひいては安全運航(セーフティ)に関わります。

あなたは、どの「相棒」と共に空を飛びますか? 自分に合った最高の一本を見つけて、クリアな視界でテイクオフしてください。

 Gooday

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