パイロットの腕時計:ロレックス、ブライトリング、それともカシオ?

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パイロットの腕時計:ロレックス、ブライトリング、それともカシオ?

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(ポッドキャスト 対話形式)


元機長が語る「コックピットの相棒」の選び方

映画『トップガン』でトム・クルーズが見せる、あの完璧なスタイル。 ティアドロップのサングラス、革のフライトジャケット、そして腕元に光るクロノグラフの機械式時計。

「パイロットといえば、高級時計」 世間にはそんなイメージがあるかもしれません。

確かに、空港のターミナルを颯爽と歩くパイロットの腕には、しばしば煌びやかな時計が巻かれています。しかし、実際に高度1万メートルのコックピットの中で、彼らが全員ロレックスを使っているかというと……現実は少し違います。

ある者は数百万円の機械式時計を巻き、ある者は数千円のデジタル時計を愛用しています。そこには、単なる「好み」を超えた、プロフェッショナルとしての「哲学」があるのです。

今回は、元エアラインパイロットであり、かつては自身も憧れのブライトリングを愛用していた私が、「パイロットと腕時計」の切っても切れない関係についてお話しします。

もしあなたが、一生モノの時計を探しているなら、あるいは大切な人へのプレゼントに悩んでいるなら、ぜひ参考にしてください。空の職人たちが選ぶ「相棒」には、選ばれるだけの理由があります。


第1章:ブライトリング 〜それは「空を飛ぶ資格(ライセンス)」〜

まず最初に、私の「本命」からお話しさせてください。 パイロットウォッチを語る上で、ブライトリング(BREITLING)を避けて通ることはできません。

特に「ナビタイマー(Navitimer)」。 文字盤にびっしりと刻まれた目盛り。これはただのデザインではありません。「航空用回転計算尺」といって、ベゼルを回すことで、飛行速度、燃費、上昇率などをアナログで計算できる、いわば「腕につけるフライトコンピューター」なのです。

私の「ブライトリング」物語

正直に告白します。 現代のコックピットには高性能なコンピューターがあり、iPadも支給されています。腕時計で燃料計算をするパイロットなんて、今や絶滅危惧種でしょう。

それでもなぜ、多くのパイロット(そして若き日の私)はブライトリングを選ぶのか? それは、これが「プロフェッショナルの魂」そのものだからです。

私がまだ訓練生だった頃。 来る日も来る日も教官に怒鳴られ、膨大なマニュアルと格闘し、いつ終わるとも知れない試験のプレッシャーに押し潰されそうな夜がありました。 そんな時、私は休日に時計店のショーウィンドウへ行き、ガラス越しに「ナビタイマー」を眺めていました。

「いつか、試験に合格して副操縦士の辞令をもらったら、絶対にこれを買う」 その輝きは、私にとって「空を飛ぶ資格」そのものでした。

そして数年後。念願の副操縦士になり、震える手でブライトリングを購入した時の高揚感は、今でも忘れられません。 ずっしりとしたステンレスの重み。それは「数百人の命を預かる」という責任の重さそのものでした。

夜間飛行(ナイトフライト)の最中、計器の光に照らされて鈍く光るブライトリングを見ると、どんなに疲れていても背筋が伸びました。 「俺は今、飛んでいるんだ」 そう実感させてくれるのは、スマートウォッチでもスマホでもなく、この機械仕掛けの相棒だけでした。

もしあなたが、機能を超えた「ロマン」「誇り」を腕に巻きたいなら、迷わずブライトリングを選んでください。それは間違いなく、あなたに自信を与えてくれる「精神的な鎧」になります。

第2章:ロレックス GMTマスター 〜資産価値とステータスの王者〜

ブライトリングが「ロマン」なら、ロレックス(ROLEX)「成功と実益」の象徴です。

特にパイロットに愛用者が多いのが、赤と青のベゼルでおなじみの「GMTマスターⅡ」です。 元々、パンアメリカン航空(パンナム)の国際線パイロットのために開発されたこの時計は、短針とは別の「GMT針」と回転ベゼルを使うことで、最大3つのタイムゾーン(出発地、到着地、世界標準時UTC)を同時に把握できます。

これは世界中を飛び回るパイロットにとって、実用的な機能です。しかし、彼らがロレックスを選ぶ理由は、それだけではありません。

「世界中どこでも帰って来られる」という伝説

パイロットの間でまことしやかに囁かれる都市伝説があります。 「もし海外のステイ先で政変やトラブルに巻き込まれ、無一文になったとしても、腕にロレックスがあれば換金して日本までのチケットが買える」

これはあながち冗談ではありません。ロレックスの圧倒的な知名度と「資産価値(リセールバリュー)」は、世界共通の通貨のようなものです。

機長(キャプテン)に昇格した記念に、この時計を手にする人は非常に多いです。 それはステータスであり、同時に家族を守るための資産防衛でもあります。

「いつかはロレックス」 その野心は、ビジネスマンであれパイロットであれ、男を突き動かす原動力の一つです。

第3章:カシオ G-SHOCK 〜現場が選んだ「最強の実用機」〜

さて、ここからは少し「ロマン」を壊すような、現場のリアルな話をします。

「じゃあ、実際のフライト中にみんなブライトリングやロレックスをつけているの?」 と聞かれれば、答えは「人による」ですが、実は「カシオ(CASIO)」派が圧倒的に多いのも事実です。

なぜか? 理由はシンプルです。 コックピットは、機械式時計にとって過酷すぎるからです。

  1. 狭い: コックピットは意外と狭いです。頭上やサイドには無数の金属製スイッチやレバーがあります。乱気流で揺れた拍子に、愛機の風防(ガラス)を金属レバーに「ガツン!」とぶつけてしまう。数万円の修理費が飛ぶ瞬間です。
  2. 磁気: 飛行機は電子機器の塊です。強い磁気が発生しており、繊細な機械式時計は「磁気帯び」をして狂いが生じることがあります。
  3. 正確性: 秒単位の定時性が求められる現代の運航において、日差数秒のズレが生じる機械式時計よりも、電波ソーラーで1秒も狂わないデジタル時計の方が「道具」として優秀なのは否定できません。

グラビティマスターという選択

そこで多くのプロが選ぶのが、G-SHOCK、特に航空コンセプトの「グラビティマスター(GRAVITYMASTER)」シリーズです。

  • 耐衝撃・耐遠心重力・耐振動: どれだけぶつけても壊れない安心感。
  • ワールドタイム: ボタン一つでロンドンやNYの時間に切り替え可能。
  • バックライト: 真っ暗なコックピットでも一瞬で時刻が読める。

私自身、ブライトリングを持っていましたが、天候が荒れそうな日や、厳しい訓練のフライトでは、あえてG-SHOCKを選んでいました。 「今日は泥臭く仕事をするぞ」という日は、カシオのタフさが頼もしいのです。

最近では、チープカシオと呼ばれる数千円のモデルを「軽くて最高だ」と言って愛用するベテラン機長もいます。一周回ってそこに行き着く「渋さ」もまた、プロの流儀かもしれません。

第4章:第3の選択肢「スマートウォッチ」と「使い分け」の美学

そして今、第3の勢力が拡大しています。Apple WatchGarmin(ガーミン)です。

特にGarminの「D2」シリーズなど、GPSと連動して飛行場のデータベースを表示できるパイロット専用スマートウォッチも登場しています。 また、不規則な生活になりがちなパイロットにとって、睡眠の質やSpO2(血中酸素濃度)を管理できるスマートウォッチは、健康管理の必須ツールになりつつあります。

おすすめは「ONとOFFの使い分け」

元パイロットとして、私が提案したい最強のスタイルは「使い分け」です。

  • フライト中(ON): 傷を恐れずにガシガシ使えるG-SHOCKや、機能的なスマートウォッチで仕事を完璧にこなす。
  • ステイ先でのディナーやデート(OFF): 制服を脱ぎ、ジャケットに着替えたら、カバンに忍ばせておいたブライトリングロレックスに付け替える。

この切り替えこそが、大人の余裕です。 仕事道具としての時計と、自分を表現するジュエリーとしての時計。この2つを持つことで、人生のフライトはより豊かになります。

まとめ:あなたの人生のフライトには、何が必要ですか?

パイロットの時計選び。それはそのまま、あなたの「価値観」選びでもあります。

  • 自分を奮い立たせる「ロマンと誇り」が欲しいなら、ブライトリング
  • 世界で通用する「ステータスと資産」が欲しいなら、ロレックス
  • 現場で戦うための「タフネスと実用」が欲しいなら、カシオ

どれが正解ということはありません。 ただ、元パイロットとして一つだけアドバイスをするなら、「ふとした瞬間に自分の左腕を見て、胸が熱くなる時計」を選んでください。

長いフライト(人生)には、乱気流もあれば、雷雨もあります。 そんな時、あなたの左腕で時を刻む「相棒」が、あなたのお気に入りの一本であれば、きっと困難を乗り越える力をくれるはずです。

さあ、あなたの次のフライトのお供は、どの時計にしますか?

 Gooday

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